わたしたちの祖先とされる人類が出現したのは、今から約20万年前。始めは狩猟採集の生活を送っていましたが、およそ1万年前に農耕を開始します。そこまで実に長い年月を要しました。それから科学革命が始まったのはわずか500年前です。コンピューターや人口知能(AI)の発達が起きたのはつい最近のこと。このように、人類の進化はここにきて急激に加速度が増しています。まさに指数関数的という言葉の通りです。
アメリカ合衆国の発明家であり未来学者であるレイ・カーツワイル氏は、2045年頃にAIが人類の知能を超える技術的特異点に達すると予測しています。今からわずか20年後です。さらにAIは進化する別のテクノロジーと融合し、「爆発的」な変化を社会にもたらそうとしています。「空飛ぶクルマ」もほんの始まりにすぎません。
イエール大学のリチャード・フォスター教授は今日のフォーチュン500企業の40%が、今後無名のベンチャー企業にとって変わられ、10年以内に消滅すると予想しています。自動車産業も例外ではありません。EVシフトというエンジン構造の大転換だけでなく、自動運転という交通手段や移動手段を含めた変化が起きようとしており、それにより産業構造が激変します。現在の勝者が明日の敗者に変わるかもしれません。トヨタ自動車の豊田章男社長も危機感をあらわにしています。
テクノロジーの面から10年、20年先の社会の姿を描くことが可能だとしても、自然科学や地政学の領域まで含めると、どんな未来が待っているかの予測は極めて困難になるでしょう。新型コロナウィルスのようなパンデミックは誰も想定できていなかったし、ロシアによるウクライナ侵攻も、大半の予想を覆す形で現実のものとなりました。手に負えない地球温暖化による自然災害、いつか必ずやってくる大規模地震、予測不能な未来。
もちろんリスクだけではなく、チャンスも無限にある。怖いけど、ワクワクもある。これから始まる超ど級ジェットコースターの変化に備えて、まずはしっかりとシートベルトを締めましょう。