飲めるけど飲まない

12 9月

私は50代後半の男性です。日頃から「俺たちの若い頃は」とか「最近の若い奴は」などの言葉がつい口に出てしまうオジサンです。ホテルや旅館の支配人は50代、経営者は60代男性が多いかもしれません。我々は紛れもなくオジサン世代です。

厚生労働省の調査(2019年)によると、50代男性の飲酒習慣率(1日1合を週に3回以上飲む人の割合)は60%を超えています。それに比べて、若者世代はどうでしょうか?20代男性はわずか10%程度です。居酒屋などに行けば、両者のギャップは一目瞭然となります。オジサンのテーブルにはアルコールが次々と乱暴に運ばれてきますが、若者のテーブルにはソフトドリンクがお行儀良く並んでいます。
そんな20代男性も、今から20年前は30%を超える飲酒習慣率がありました。この20年で三分の一に減少したことになります。男性の30代、女性の20代、30代でも減少傾向があるようです。いったいこの20年で何が起きたのでしょうか?

実は、体質的にお酒を飲めない若者が増えているわけではなく、「飲めるけど飲まない」若者が増えているのです。
その理由は、現代の若者がデジタル世代であることから来ています。スマホやSNS、ゲームなど娯楽が多様化し、友達とお酒を飲んで楽しむ魅力が相対的に下がったのです。しかも、スマホを通していつでも友達とつながれるので、わざわざ集まる必要がなくなったことも、飲酒習慣を身に付ける機会が減少することにつながったと思われます。
また、今の若者はとても堅実で、「コスパ」を重視します。ソフトドリンクに比べてアルコールは価格が高いので、知り合いとコミュニケーションを深めたり、友達と楽しい時間を共有する上で、目的を達成するためのコスパが悪いと感じるのです。

我々オジサン世代は、もはやマーケットの中心ではありません。一方で、最近の若者、Z世代が消費の中心になりつつあります。世代交代の現実を冷静に受け止め、適切なマーケティング策を講じなければなりません。

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