宅配最大手のヤマト運輸が今月から、受け取り側が不在の際に玄関前などに荷物を置く「置き配」の対象を広げることになりました。これは働き方改革関連法による「物流の2024年問題」を背景に、再配達を減らし、労働力不足を補うことが目的です。
「大切な荷物を玄関前に置いてくる」というアイデアは、以前なら実現可能とは思われなかったでしょう。しかし、実際に試してみると、盗難のリスクは予想よりも小さく、顧客にも好評でした。今後、防犯カメラや宅配ボックスの普及が進めば、置き配サービスはさらに確固たるものになるでしょう。
これまで無数の再配達が行われ、そのたびに無駄な労働力が消費され、トラックが排出するCO2が環境に負荷をかけていました。もっと早く置き配を始めるべきだったと思います。
リクルートワークス研究所によると、日本では2040年に1100万人の働き手が不足すると予測されています。これは生活に必要な労働力が不足し、救急車や警察が来ない、道路や橋が未補修のまま放置されるといった深刻な事態を招きます。ドライバー不足も深刻で、日本の地域の4分の1では荷物の発送や受け取りができなくなるかもしれません。置き配どころの話ではありません。働き手がいないために宿泊施設に泊まりたくても泊まれない未来が来るかもしれません。
労働力不足を解消するために、「需要を減らす」や「供給を増やす」以外のアプローチとして、AIなど新しいテクノロジーを活用することは大いに期待できると思います。それ以外にも「置き配」のように、まだ誰も気づいていないアイデアがあるかもしれません。