一年が経つのは、あっという間ですね。春になり、多くの企業で新入社員を迎える季節がやってきました。あっという間に感じる一方で、1年前のことを意外と忘れているものです。本稿は、昨年5月のニュースレターに掲載した内容を再編集してお届けします。
さて、この春、多くの宿泊施設でも新入社員研修が行われていることと思います。初期研修であるOFF-JTは、人事担当者や外部の専門講師が担うことが多いでしょう。一方、実務を伴うOJTになると、現場での指導技術に課題が見られることがあります。業務スキルが高いことと、それを他者に教える力は、必ずしも一致しません。
<指導の基本的なステップ>
以下を効果的な順番に並び替えてみてください。
A)コツを教える B)やらせてみる C)やってみせる D)やり方を説明する
いかがでしたか? 正解できましたか?(※正解は文末に掲載)
<効果的な指導のためのポイント>
■ 準備に時間をかける
研修の成否は準備にかかっています。事前にカリキュラムやマニュアルを見直し、シミュレーションを行って本番に備えましょう。ぶっつけ本番や、何年も前のマニュアルの使い回しは避けたいところです。
■ 仕事の目的を伝える
「何のためにその仕事をするのか」を明確に伝えると、学びがスムーズになります。例えばキャンプ場で「石を集めて」と指示するよりも、「かまどを組むため」と目的を伝えることで、適切な石を選ぶことができます。
■ ロードマップを示す
指導の最初に、ゴールと現在地、そこに至る道筋(ロードマップ)を示すことが大切です。学習者のモチベーションを保ち、全体像を俯瞰する視点を持たせましょう。
■ 可視化する
「百聞は一見に如かず」という言葉の通り、人は視覚情報を優位に処理します。図や画像、動画を活用した説明や、実際に「やってみせる」ことは非常に効果的です。
■ 教えすぎない
最初は、基本的な動作の習得に絞りましょう。細かなコツや応用は後回しで構いません。情報を詰め込みすぎると、かえって混乱やストレスを生むことがあります。
■ フラットな関係を築く
教える側と教わる側に立場の差はあっても、基本的には対等な関係です。互いに尊重し合う姿勢を、あらかじめ共有しておくことが重要です。
せっかく苦労して採用した新入社員ですから、一日も早く現場で活躍してもらいたいもの。
その成否は、教える側の心構えと指導技術にかかっています。
※正解)D→C→B→A