満室とオーバーブック

7 12月

 ホテルは部屋数が決まっている。電車と違って、乗車率150%みたいなことはあり得ない。つまり満室はオーバーブッキングと紙一重でもある。

 そして、満室を目指すには、リスクが伴う。予約段階から当日のフロント業務まで、ミスなく完璧に仕事を完遂しても、予期せずイレギュラーなどで部屋が足りなくなる場合もある。しかし、オーバーブッキング怖さのために、繁忙期に来る日も来る日も満室を実現できないとすると、問題である。特に規模の小さな宿泊施設ほどことは重大だ。

 予約担当者もフロントスタッフもオーバーブッキングが何より怖い。リスクを冒して、残りたった数部屋を売り切ったところで、彼らが評価されるわけでも給料が上がるわけでもないのである。逆にオーバーブックを起こした時に彼らが受けるお客様からの怒り、他館振りした経費、上司からの厳しい叱責。当然ながら、安全志向になる。

 現場サイドにこうした意識が働くのであれば、経営サイドは常に反対勘定を起こさなければならない。常に現場にプレッシャーをかけて、最後のひと部屋まで売り切る意識を持たせるよう、働きかけなければならない。