ある現場で、問題が生じていた。
そこで問題改善へ皆で取り組んだ。問題の本質を見極め、改善策を見い出すことができた。そして改善策の実行により、全てがうまく機能していった。経営者はよかったよかったと胸をなで下ろす。
ところが1年後、また同じ問題が生じていることが発覚する。原因は、当初実行されていた作業がいつのまにか実行されなくなっていたのである。調査したところ、再び実行されなくなったのは、開始後3ヶ月目からだった。つまり、9ヶ月もの間、経営トップはこの状態に気がつくことができなかったのである。
この現場のケースでは、仕事の型決めがされていなかったために、継続できていなかった。もうひとつは、やっているかいないかをチェックするための可視化ができていなかったことが失敗につながっている。
これらが上手にできているケースを一例。
あるホテルの支配人は、ベッドのマットレスの耐用年数を延ばすために、定期的にマットを裏返すことを現場に義務付けた。3ヶ月ごとに裏返しと、前後を変えることで、1年で4回位置を変えるのである。そして、裏返しを実施する日を係に決めさせた。これで「いつだれが何をどのように」行うかの具体的な型決めがさなれた。
さらに支配人は客室係にマットレスに直接マジックで「1-3」「4-6」「7-9」「10-12」と書き込ませた。マットの上端と下端、そして反対側にもそれぞれ。1-3月は「1-3」と書かれた部分を表の頭側に持ってくるのである。 これができていないと、毎日のベッドメーク時にシーツをめくるといやでも目に入る。実行できていない場合に一目瞭然となる。支配人も決めたことがきちんと実行されているかいないかをいつでも簡単にチェックできる。
仕事の型決めと見える化で、実行率が飛躍的に向上する。