世代交代

9 11月
国の内外を問わず、スタートアップやベンチャー企業の成功事例は常に注目を集めます。20代や30代の若手経営者が、柔軟な発想力やビジネスセンス、情熱などの面で特有の強みを発揮するのだと思います。しかし、日経ビジネスの調査によれば、 ベンチャー企業の5年後の生存率は15%しかありません。自動車ドライバーの事故率が若年層において高いのと同じように、経営においても「スピード」の出しすぎや、危険を察知する経験、リスクに備えるメンタリティが不足しているのかもしれません。実現性の高い事業計画を策定する力も不足しているように思います。それでも生き残る15%の企業は、市場に評価される大きな製品やサービスを生み出し、老舗企業ではなしえない急成長と大きな成功を手にします。
一方で、40代以降に創業した場合は倒産確率が大きく減少しています。20代30代で社会において数々の失敗を含む豊富な経験を積んだことで、市場を正確に把握し経営計画を実現する能力が高まるためでしょう。堅実ではありますが、若手経営者のスタートアップに比べたとき、独自性や成長性において見劣りします。Z世代という言葉をご存じでしょうか。1990年代中盤から2000年代終盤、または2010年代序盤までに生まれた世代のことです 。生まれながらにしてデジタルネイティブである初の世代であり、今後の消費傾向にも大きく関与する世代として、注目を集める存在です。Z世代の前はミレニアル世代、その前がX世代・・・。移動通信技術も3Gから4G、そして5Gへ。世代は常に移り変わり、交代が起きます。

東京商工リサーチによると、2021年の日本企業の社長の平均年齢は62歳。70代以上の構成比が32.7%と高く、とりわけ中小企業においては事業承継などの問題で、世代交代が思うように進んでいない傾向が浮き彫りとなっています。それはすなわち、企業が若手社員の力を活かしきれていない現実につながっていると思います。
民間企業において世代交代をどのタイミングで行うのかは、その規模や事業特性、ライフサイクル、中長期の経営戦略、人材育成の状況など、様々な要素で判断が変わってくるでしょう。ただ、ひとつ言えることは、世代交代は遅すぎても駄目で、早すぎても駄目。そして、多くの場合は遅すぎる結果を受け入れている、ということです。

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