創立十周年

11 11月

プライムネット株式会社は2020年10月をもちまして創立十周年を迎えました。創業者としては、ひとつの節目を迎えたことに特別な思いがあります。ベンチャー企業の「十年生存率」は1割程度とも言われます。今日まで生き残れたことについては、素直に「幸運だった」と思います。時機に恵まれ、お客様に恵まれ、社員に恵まれたおかげだと心から思います。
本来なら、お客様と社員が集う場を設け、皆さまへ感謝の気持ちを直接お伝えしたかった。しかし新型コロナの収束が見えないなか、催しは自粛せざるを得ません。大変残念に思います。ですが、明けない夜はない。次に皆さまとお会いできる日を楽しみにしたいと思います。
本編は、創業の原点から今日まで、そして未来に向けての展望について書かせていただきます。

【原点(ミッション)】
私は大学を卒業してすぐの1990年、北海道内のリゾート施設に就職しました。その翌年からバブルが崩壊し、その後は「失われた20年」と呼ばれる長期にわたる経済停滞を経験します。2008年にはリーマンショックが世界の経済界を襲いました。私が約20年の間、宿泊業界に従事したなかで実感したのは、宿泊業の経営は苦しい、そして従業員も苦しいということです。
そんな折、インターネット宿泊予約サイトが2005年頃に登場します。宿泊施設は従来の旅行代理店依存から脱却し、ネット集客を強化する必要に迫られました。しかし多くの宿はネット販売のノウハウやスキルが不足していました。人材に恵まれた一部の都市型ホテルならまだしも、地方の小規模宿などはネット販売の運用にこれからきっと困るはずだ。それを解決するビジネスが必要だ。こうして起業を決意しました。

【道のり】
2010年4月に起業しました。社員は自分ひとり、自宅の一室六畳間に小さな机とノートPC1台だけ。まずは名刺とチラシを作るところからスタートです。ホームページもまだ作っていませんでした。クルマで北海道内を営業しました。実績ゼロの出来たばかりの会社でしたが、最初の3か月で7件のご契約をいただきました。僕という人間を信じていただけたのだと、本当にありがたい思いでした。
その後、取引先は北海道から東北、沖縄と広がり、約200施設になりました。札幌中心部にオフィスを移転し社員も20名を超えました。まだまだ力不足で、至らないところばかりの会社ですが、創業当初にご契約いただき、十年経ったいまも運用を続けている施設様も多数あります。日々、感謝の気持ちを胸に刻みつつ、業務に取り組んでいます。

【この十年で起きた変化】
事業を開始した10年前は、ネット販売といっても「じゃらんと楽天をやっておけば十分」でした。とりあえずプランを作って在庫を入れておけば、それなりに予約が入る時代でした。間もなくサイトコントローラーが登場して、在庫の一元管理ができるようになりました。新しい宿泊予約サイトも次々と増えてきました。インバウンドが増加してくると、海外の宿泊予約サイトも必要不可欠なチャンネルになりました。あらかじめ設定した料金で固定的に販売していた時代から、客室在庫や需要に応じて宿泊料金を変動させるレートコントロール(ダイナミックプライシング)が当たり前になってきました。
次から次と出現する新しい仕組み、変化に追いつくのに弊社の社員も必死の思いです。10年前と比較して、1施設あたりの業務量は10倍くらいに増えた感じです。仕事内容は次第に複雑になり、求められるスキルも確実に上がりました。もはやネット販売は専門職の領域と言えます。

 

<ミニコラム>
「十年間で一番苦しかった時期は?」
起業後3年ほどは、ほぼ私ひとりで運用業務と営業をこなしていました。会社は年中無休なので自分の休日はゼロ。そのため家族に寂しい思いをさせました。営業に出向いた出張先では過労のため救急車で病院に運ばれたこともあります。会社の売上が少なく、自分の給料を払えないことも何度もありました。

「十年間で一番悲しかった出来事は?」
運用中の温泉宿が経営不振で倒産しました。長い歴史を持つ名宿で経営者も魅力的な方だったので、ショックでした。弊社がネット販売でもっと早くから成果を上げていれば倒産を回避できたのではないかと、自責の念にかられました。

「十年間で一番うれしかったことは?」
道内でビジネスホテルを経営されている社長のご家族から「経営不振で社長は廃業を考えていた。その折にプライムネットと出会い、その後ネット売上が一気に増加。そのお陰でいまも経営を続けることができている。ありがとう。」と感謝の言葉をいただいたこと。

 

【未来に向けて】
新型コロナによって、この先10年くらいで起きる社会変化が、この一年で一気に進んだ感じがします。人が当たり前に動き回り、人が当たり前に集まる時代から、IT活用によりオンラインでつながる活動がスタンダードになってくる。一方で、旅行をしたり、人と直接対面することは今まで以上に特別な体験となるでしょう。この先、コロナが収束したあとも、時代の変化は加速し続ける気がします。AI・IOT・5G、時代はITからDX(デジタルトランスフォーメーション)へ。クルマの自動運転化が進むのと同じように、テクノロジーで宿泊施設の姿も大きく変わっていくでしょう。
日本国内においては人口激減が始まっています。今後40年ほどで人口は三分の二に、生産年齢人口は約半数になります。宿泊施設が生き残るためには生産性を向上させていかなればいけない。それを可能にするひとつの鍵がテクノロジーだと思います。宿が今よりもっと儲かって、働く人がもっと楽しく幸せになること。それを支える会社でありたい。もっと大きく貢献できる存在にならなくてはならない。そのためにプライムネットも変化し続けていかなければならない。そう考えています。

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