弊社ウェブサイトの「代表者挨拶」ページには、次の一文を掲載しています。「幼い頃に家族で泊まった海辺の民宿。初めて友達と行った観光地の小さなホテル。思い出のそれらは、すでに廃業してしまっていた。宿の経営は本当に難しい。仕事はキツく、なかなか儲からない。でも今、インターネットを上手に使えば仕事をラクに、もっと儲かるようにできるはず。」これこそがプライムネット株式会社を設立した動機であり、私たちのミッションです。
僕が宿泊業界に入りたての頃、常に消えなかった疑問があります。それは「どうしてホテル旅館の従業員は給料が安いのか。」ということです。今になって、その理由のひとつが見えてきました。それは「宿泊業の生産性が低いから」です。生産性については、前回も少し書きましたが、今回も改めて考えてみたいと思います。
デービット・アトキンソンの著書『新・所得倍増論』によると、日本の生産性は世界第27位で、先進国の中では何と最下位です。なかでもサービス業の生産性は極めて低く、国民一人あたりの生産額ではアメリカの43,000ドルに対して、日本は26,000ドルしかありません。原因のひとつとして、ITを効果的に導入してこなかったことを指摘しています。
宿泊業の生産性が低いことは、政府も問題視しています。観光庁は平成28年度に日本旅館協会と連携し、全国8つの旅館・ホテルでコンサルティング、全国20カ所で生産性向上に関する実践型講座「ワークショップ」を開催しました。作業改善・標準化、IT化・機械化・道具化、人材育成など、様々な角度から生産性改善の方策を考えています。
このような地道な取り組みは大事ですが、今までやってこなかったわけではありません。ですので、もっと抜本的な問題解決が必要だと僕は考えています。宿泊業の中でも観光型旅館の生産性が特に低いと思います。特徴として「泊食分離」がされていないこと、和室であること、繁閑の差が大きいことなどが挙げられるでしょう。この辺に問題の本質が隠れていると思うのです。(続く)
宿泊業の生産性について考える①
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8月