満室

1 8月

閑散期はネットに在庫を提供しても、簡単には予約が入りません。それに対して繁忙期は予約転換率が高くなります。販売単価も上昇します。よって客室を企業にとっての資産と捉えると、資産価値は時期によって増減する。繁忙期において高騰すると言えます。それゆえ一部屋の価値が高い8月は、経営者としては日々満室稼働を目指したいものです。

客室の在庫管理は売上に直結する重要な業務です。しかし、直接電話予約にネット予約、旅行代理店など複数のチャンネルで販売しているために、確認や調整の作業は簡単ではありません。急なキャンセルが発生したり、予約の漏れや重複などの人為ミスも起こります。在庫管理を担当するスタッフは他の業務も兼任しているため、繁忙期においては、つい大切な在庫管理に目が行き届かなくなります。

更には、現場の担当者が恐れるのがオーバーブッキングです。オーバーブックが発生すると、お客様にご迷惑をかけ、時には対面で激怒され、代替宿の手配などに奔走し、最後には支配人や経営者から叱られる。「こんなことなら、無理に満室にしたくない。何室か予備部屋を残しておこう。クレーム用にも必要だし、客室の急な設備トラブルで販売できないこともある。」担当者の意識がこのような守り志向に入ると、日々、最後まで売れ残る(売りに出ない)部屋がじわりと増えてきます。期間トータルではかなりの機会損失となります。

現場の仕事は二律背反。売上とリスクは紙一重。それだけに、経営者や支配人のマネジメント力が問われます。