「宿屋の仕事はキツく、儲からない。」
これが僕が30年近く宿泊業に携わり、また支援してきて確信することのひとつだ。
生産性が低い原因のひとつは、日本の宿泊施設の圧倒的多数が小規模経営であること。
規模の小ささゆえに、投資、運営などあらゆる面において効率が悪い。
もうひとつが製造業のような技術革新を取り込むことが難しいことだ。
製造業なら新しい技術や機械を用いて、今まで1日に10個しか製造できなかったモノを20個、30個作れるようにすることが可能だ。
しかし労働集約的な側面が強い宿泊業ではこうはいかない。
ハウステンボスの「変なホテル」のように、ビジネスホテルなら今後、自動チェックイン機などを使って、人的サービスを省いて生産性を上げていくことは可能だろう。
しかし、観光地の旅館など「おもてなし」を売りにしている宿はそれをやっていいか?
僕はやっていいし、やるべきだと思う。
僕自身、宿屋の運営側に20年くらい居たので、実感としてあることなのだが、サービスと言われていることの多くに、非常に無駄が多く存在している。
サービスの提供側と受け手のミスマッチも少なくない。
だからゲストが求める「本当のおもてなし」を研ぎ澄まし、それ以外の無駄を省くことで生産性を高めていくことは正しいイノベーションだと思う。
「うちの宿はネットで予約を取ることなんかしない。電話で直接お客様とやり取りをすることが大事なんだ。」
少し前なら、こんなふうに話をする宿の経営者がよくいたものだ。
ネット宿泊予約が進んだことで、少なからずこの部分での生産性は上がったと思う。
でも、宿の中には非効率、無駄が至る所にゴロゴロ転がっている。
ITを使って、「宿屋の仕事はラクで儲かる」ようにできないか?
きっとできるはず。