値決め

16 2月

東京の豊洲市場近くの屋台では、牛串が1本2000円で売られ、北海道ニセコのフードドラックではかつ丼が3000円で提供されています。これらは円安を背景にしたインバウンド向けの高価格商品ですが、価格設定について考えさせられる事例です。

日本では昔から商売を卑しいものと見なし、金儲けすることを悪とする価値観がありました。お客様へのサービス精神もあって「いいものをできるだけ安く」売ることが良い商売であるという考え方も根強いです。しかし、この戦略は大量販売が可能な業界に限られ、販売量が限られた企業がこれを真似すると、利益を圧迫することになります。

価格設定は、コスト、競合、顧客の3つの観点で考えるのが基本です。コストと競合の価格は計算や調査で明らかになりますが、顧客がどこまで価格を受け入れるかは難しい問題です。実際に価格を上げてみて売れ行きが落ちれば高すぎた証拠ですが、売れ行きが変わらない場合でも顧客の満足度が下がっている可能性があります。これは、顧客の視点を更に分解して検討する必要があることを示しています。
京セラの創業者、故稲盛和夫氏は「お客様が喜んで買ってくださる『最高の値段』でなければならない」と述べています。

宿泊業界では、室料にダイナミックプライシングが普及しており、柔軟に価格を変動させています。一方で、レストランの朝食代や飲料代、その他の館内サービスに至るまで多種多様な価格が存在します。原材料や人件費が高騰、市場の変化を踏まえ、価格の見直しは経営者にとって重要な仕事です。

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