論点

5 8月

夏休み期間のピークを迎え、日本中の観光関連施設が多忙な毎日を送っていることでしょう。宿泊施設においても、従業員の方々は朝から晩まで目が回るような忙しさ、長時間勤務、そして休みも満足に取れず、全身が疲労感に包まれながら、このピークはいつまで続くのかと思いつつ、歯を食いしばって目の前の仕事と格闘していることでしょう。
さて、私が宿泊施設の支配人をしていた頃、夏休みをはじめとした繁忙期には、運営上の様々な問題点が浮き彫りになりました。普段からギリギリの最小人数で運営しているところに、明らかに“戦力”を上回る宿泊客が波状攻撃のごとく押し寄せるため、館内の各所で“防衛線が崩壊”してしまいます。その結果、連日のようにサービス現場の各所でクレームが発生しました。
クレームの発生要因としては、施設や商品ではなく、人的サービスにある場合が最も多くありました。クレームを減らす、未然に防ぐにはどうしたらいいか?問題の解決に取り組みました。
「そもそも人員体制に無理がある。要員計画が間違っていたのではないか?」「いや、計画通りに採用人数を確保できなかったのが原因だ。」「であれば、人員に見合ったサービス体制を設計しなおすべきではないか。」「サービス水準も売上も犠牲にはできない。予算上の人件費率はどうなっている?」「そもそも、繁忙期と閑散期の季節波動が大きすぎることが根本の問題だ。」「いや、ITをもっと活用して、省力化を図れば解決できるは。」「まずは従業員を教育し直して、サービススキルを上げればクレームは減らせるはず。」「いやいや・・・」
問題を解決しようとするとき、何が論点なのか、はっきりしないことがあります。論点がいくつもある場合が多い。小論点や中論点に目が行ってしまい、肝心の大論点を見逃していることもある。現象と論点を取り違えることもある。人によって論点が異なることもある。
組織として、最上位にある大論点を正しく設定することが重要です。論点を間違うと、問題解決の取組み自体が無駄になってしまいます。成果を上げるためには、論点を見極める力が重要です。日頃から身の回りの様々な問題について、論点思考で考えてみる習慣をつけると良いと思います。