災害リスクを評価する

14 6月

先日、北海道の初夏の風物詩「YOSAKOIソーラン祭り」が開催されました。昨年は踊り子のマスク着用が義務でしたが、今年はそれがなくなり、踊り子の生き生きとした素晴らしい笑顔を見ることができました。観覧した多くの方が「元気と感動もらった」と感じたのではないでしょうか。

私たちの生活のあらゆる場面で、アフターコロナを実感する機会が増えてきました。約3年という長いトンネルを抜けて、ようやく日常が戻ってきたことに安堵します。マスクを外して初夏の爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込んで、幸せを感じる。「この幸せよ、いつまでも。」と願う。しかし、残念ながらそれは甘い願望です。経営者なら常に最悪を想定し、次に備えなければなりません。

南海トラフ地震はマグニチュード8から9クラス、最大震度7の巨大地震で、関東から九州にかけての太平洋沿岸に10メートルを超える大津波が襲来し、地震による死者は最大18万人にのぼると予測されています。東日本大震災をはるかに超える被害です。今後20~30年以内に70~80%の確率で起きると言われています。今日起きてもおかしくないのです。

新型コロナでは運輸・観光業などを中心に特定の業種が打撃を受けました。一方、南海トラフでは日本経済全体に幅広く甚大な影響が及ぶと予想されます。そのため間接的な影響も含めると、観光業への打撃は新型コロナを上回ると考えた方がよさそうです。しかも、コロナ禍においては国や地方自治体から助成金や給付金などさまざまな支援がありました。南海トラフでは被害が広範すぎて、同様の支援は期待できないかもしれません。

もうひとつのリスク。パンデミックはいつか必ず再来すると思います。この地球上で起きている爆発的な人口増加、人々の国際的な移動や接触の増加、都市化の進展などにより、新たな病原体が人間に感染し広まるリスクは以前より確実に高まっています。新型コロナウイルスとの闘いで、ワクチン開発や公衆衛生面の対応スキルなど、人類は多くの知見と経験を獲得しました。一方で、新型コロナを上回る感染力・致死率を持ったウィルスが今後現れないという保証はありません。

リスクは常に存在し、完全に排除することはできません。かといって漠然と不安な気持ちを抱えているだけでは大切な人や地域を守ることはできません。重要なのはリスクを適切に評価し、必要な対策を講じることです。

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