先日、取引銀行支店長の紹介で、不動産会社の社長と話す機会がありました。その会社の主力事業のひとつが賃貸アパートでしたが、今後は宿泊事業にも進出していくそうです。古いオフィスビルをリノベーションして、ゲストハウスやウィークリーマンションなどに業態変更をしていくとのこと。この会社の場合、民泊ブームがきっかけになりました。旅館業法の改正などを受けて、異業種の参入障壁が低くなっているように感じます。
大手住宅メーカーの大和ハウス工業は2020年までにインバウンド(訪日外国人)を対象にしたホテル仕様の賃貸マンション3,000戸を全国で整備します。同じくセキスイハウスは世界的なホテルチェーンのマリオットと提携して、全国の道の駅に併設する宿泊特化型のホテルを建設していきます。
首都圏を中心に超ラグジュアリーホテルの建設計画が次々に明らかになる一方、ファーストキャビンが展開するカプセルホテルも人気を博しています。旅行業のエイチ・アイ・エスは「変なホテル」でロボットを多用することで少人数オペレーションに挑戦しています。
このように、宿泊業を取り巻く環境がここに来てにわかに大きく変わり始めています。訪日外国人の増加という要因だけでなく、人口減少や人手不足、テクノロジーの進化など、様々な要因が変化の圧力となり、パラダイム(その業界を支配する常識や規範、ルールなど)が変わり始めているように思います。歴史を振り返ると、新しいパラダイムは、古いパラダイムで生きているすべての人に、大きなリスクを負わせます。
旅館業法は1948年の施行です。70年近くも前に作られて、その後はほとんど変わっていません。時代が変わり、ビジネスのルールが変わりつつあるいま、旅館業そのものも変革を迫られているのかもしれません。