宿泊料金の見直し方

9 10月

弊社はお客様(宿泊施設)のネット販売をお手伝いする過程で、宿泊料金の見直しをご提案することがあります。単価を上げて、営業利益を拡大していただくことが目的の場合があります。単価を下げることで競争力を高め、売上高を拡大していただくことが目的の場合もあります。いずれの場合も、3つの視点で価格について検討します。一つ目は自社の視点。二つ目は顧客の視点。三つめは競合の視点です。
一つ目の自社の視点とは、「その価格で販売して、利益を確保できるのか?」ということです。販売が振るわないからと言って価格をどんどん下げて、損益分岐点を割る訳にはいきません。
二つ目の顧客の視点とは、「その価格は顧客に受け入れてもらえるのか?」ということです。消費者心理を無視した値付けをしては、販売に成功することはありません。
三つ目の競合の視点とは、「その価格は市場での競争に勝てるものなのか?」ということです。ネット販売においては、競争原理が強く働きます。自社と顧客の視点を満たした価格設定をしても、ライバル宿に価格競争で負けてしまっては何にもなりません。
例えば和室(定員四名)の一人あたり素泊まり料金が2名1室1万円、3名1室9千円、4名1室8千円の宿があるとします。この場合、室料は2名1室2万円、3名1室2万7千円、4名1室3万2千円です。仮に損益分岐点となる1室単価が2万2千円だとすると、2名1室の料金は千円値上げしなければなりません。一方、4名1室料金は千円値下げすることで競争力を高め、小グループやファミリーの取り込みを強化する、という戦略もあり得ます。
現状料金でも、繁忙期に満室稼働が見込めるなら値下げをする必要はありません。稼働率が下がる閑散期だけ4名1室料金を下げる、というように季節ごとに料金設定を変化させるという手法をとるべきです。
タリフ(宿泊料金表)をパンフレットに挟み込んでいた時代は終わりました。野菜や魚介などの生鮮品と同じく、需要と供給、競争環境に応じて柔軟に販売価格を変動するのが当たり前の時代になりました。