このコラムをお読みの多くの方は、部下を持つ管理職や経営職の皆さまではないでしょうか。
皆さま自身は「1on1ミーティング」の必要性を理解していても、皆さまの部下であるマネージャー層はどうでしょうか。彼らは本当にその意味を理解し、実行しているでしょうか。
【1on1=管理職にとって必須の役割】
1on1とは、上司と部下が定期的に一対一で行う対話の場であり、部下の課題や悩みを引き出し、その成長を支援することが目的です。つまり「部下のために行う面談」であり、再現性のあるマネジメント手法です。
それにもかかわらず、「私は部下をたまに飲みに連れているから十分だ」と考える上司がいます。しかし、飲み会は1on1とはまったく異なります。気まぐれで開催され、参加メンバーが偏ることも多く、アルコールが入れば冷静な対話も難しくなります。さらに、上司の愚痴や説教に終始してしまうケースも少なくありません。
1on1はそのような“場当たり的な交流”ではなく、定期的かつ計画的に行うべき業務です。月に1回以上、できれば2〜3週に一度の頻度で、落ち着いて話せる場所と時間を確保し、対話に集中できる環境を整える必要があります。
もし、部下を持つ管理職が1on1を行っていないのであれば、それは管理職として果たすべき重要な役割を担っていないと言わざるを得ません。
【1on1=正しく行うことで成果を生む】
1on1は、ただ開催するだけでは意味がありません。「どう行うか」が、その効果を大きく左右します。
ありがちな誤りは、上司が一方的に話し続けたり、指導や説教に終始してしまうことです。これでは部下が本音を語れず、対話は形式的なものになってしまいます。
正しい1on1では、上司は聞き役に徹し、問いかけを通じて部下自身に考えさせ、気づきを引き出すことが求められます。話題も業務の進捗だけでなく、キャリアの展望、モチベーション、人間関係など幅広く柔軟に設定することが有効です。
そして何より、1on1の出発点は信頼関係の構築にあります。部下が「この上司は自分を理解しようとしてくれている」と感じることが、対話の質を高め、成長支援へとつながります。
1on1は、管理職にとって「選択肢」ではなく「必須の仕事」です。
今一度、自身のマネジメントを振り返り、1on1の実施状況とその中身を見直してみてはいかがでしょうか。