米国大統領選挙が終わり、トランプ氏が次期大統領に決まりました。米国の大統領ほど、世界の政治や経済に大きな影響を与えるリーダーは他にいないと言えるでしょう。トランプ氏が勝利した直後から、世界の株価や為替が大きく動き、報道番組でも今後の4年間に関する専門家の分析が続いています。今後、世界の観光業界にもどのような影響があるのか注目していきたいところです。
さて、短期的な影響はさておき、世界の観光業界は長期的にどのようなビジョンを描いているのでしょうか。参考になるコメントとして、日本の初代観光庁長官であり、現在は国連世界観光機関の駐日事務所代表を務める本保芳明氏が北海道新聞社のインタビューで述べた内容をご紹介します。
【国連の予測】
2019年に14億6千万人だった国外旅行者数は、2030年には18億1千万人に増加する見込みです。旅行者数は世界経済の成長に比例して増えており、日本を含むアジア太平洋地域も、2019年の3億6千万人から2030年には5億4千万人に達する見通しです。
【日本政府の目標】
2019年の訪日観光客数は3千万人でしたが、2030年には6千万人、2040年には1億2千万人を目指しています。特定の国に依存する形から脱却し、東南アジアやインド、欧米など多様な国からの旅行者を増やす計画です。
【訪日外国人が急増した背景】
2008年度の観光庁予算は60億円で、当時は海外向けのプロモーションも難しい状況でした。しかし、小泉純一郎政権下でスタートした「ビジット・ジャパン・キャンペーン」をきっかけに予算が増加し、2024年度には観光庁の予算が1,200億円にまで拡大しました。
本保氏はインタビューの最後に、観光業界の人手不足についても触れています。「観光は日本経済を牽引する大きな産業に成長していますが、残念ながらこの点の理解が広がっていません。就職活動中の学生の親が観光業界を反対することも多いと聞きますが、成長性があり変化に富んだ挑戦しがいのある業界です。ぜひ多くの若者に挑戦してほしいです。」と述べています。
これからの観光業界の未来は、どれだけ多くの若く才能ある人材を集められるかにかかっていると言えるでしょう。
参考:北海道新聞社 2024年2月14日朝刊