年内にも日米間の金利差が縮小し、円高が進行し、国内観光業にも影響が及ぶことが予想されます。
円安の期間中は、海外からの観光客が「日本は今がお得」とばかりに押し寄せました。また、多くの日本人が海外旅行を控え、国内旅行にシフトしていた状況も見られました。しかし、円高が進むと、こうしたトレンドには変化が生じるでしょう。インバウンド需要が減少し、日本人の海外旅行が再び活発化することで、コロナ後に活況を呈していた日本の観光業にも一旦ブレーキがかかる可能性があります。
しかし、ここで重要なのは、日本の観光コンテンツは非常に魅力的であるという点です。過去数年間に日本を訪れた多くの外国人観光客がその魅力に感銘を受け、SNSを通じて日本の良さが世界中に広まっています。このため、インバウンド需要もいずれ再び回復することが期待されます。
一方で、日本国内の旅行市場については、人口減少の影響を避けることはできません。国内旅行者の数が徐々に減少していくことは避けられない現実です。
しかし、国内市場を一括りにすることはできません。旅行者の層は若年層からシニア層、カップルからグループまで多岐にわたります。もし数百室規模の宿泊施設を運営しているのであれば、幅広い層に対応する必要がありますが、20室程度の小規模施設であれば、特定のターゲット層に絞り込んだ戦略でも十分に成り立ちます。
今後は、どのカテゴリーに焦点を当てるべきか、改めて考え直す必要があります。円高による一時的な過熱の沈静化を機に、冷静に戦略を見直しましょう。この機会に、人手不足を解消するための仕組み作りやデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入にも取り組むことをお勧めします。